屋根のリフォーム時期や方法は屋根材により大きく変わりますので
新築一戸建てを建てる際や屋根の葺き替えリフォームを検討している際は
どんな屋根がいいのか悩まれる方もいらっしゃるかと思います。
そこで、一般住宅でよく使われている屋根材の特徴をご紹介します。
粘土瓦
粘土瓦は粘土を焼いて作る瓦で、いわゆる瓦屋根です。
陶器瓦といぶし瓦があり、陶器瓦は表面に釉薬をコーティングして着色しており、いぶし瓦は釉薬を使わずに仕上げています。
粘土瓦は耐久性に優れている点が最大のメリットです。
基本的に塗装も必要ありません。
そのほか、断熱性、耐火性、防水性、防音性に優れています。
デメリットとしては価格が高いことです。
また、瓦そのものが重いため、建物の耐震強度に影響する可能性があります。
そのほか、地震で瓦がずれたり、台風で飛ぶこともあり、自然災害の際は注意が必要です。
耐用年数は約50年以上、施工価格は1㎡あたり約9,000円程度~約12,000円程度が相場です。
セメント・コンクリート瓦
セメント瓦はセメントと砂、水を混ぜたものを型に入れて形成し、塗装した瓦です。
色や形が粘土瓦に似ていますが、全く別の瓦となります。
セメント瓦は色のバリエーションが豊富で、建物の雰囲気に合わせやすくデザイン性を高められる点がメリットです。
気温の変化にも強く、耐火性にも優れています。
デメリットは、粘土瓦と違い塗装仕上げなので塗装メンテナンスが必要な点です。
塗装が劣化すると瓦の割れや雨漏りの原因となりますので要注意です。
セメント瓦とコンクリート瓦の違いは、セメント瓦はセメントと砂を主原料とし、加圧成形して仕上げます。
コストが安いため施工費用を抑えたい方に向いている瓦です。
コンクリート瓦はセメントと水と骨材を混ぜ押出形成した後、着色セメントスラリー塗装とクリアー塗装をして養生したものです。
寸法精度が非常に高く、防水性、断熱性、耐震性に優れています。
耐用年数は約30年程度、施工価格は1㎡あたり約6,000円程度~約8,000円程度が相場です。
化粧スレート
化粧スレート屋根はセメントに繊維素材を混ぜて5mm程度の薄い板に加工した屋根材です。
現在最も普及しているのがこの化粧スレートで、価格と費用効果のバランスがよく
見た目がすっきりとしてモダンなため、人気があります。
化粧スレートのメリットは軽量なこと、洋風なデザインでカラーバリエーションが豊富なこと
耐空性、耐熱性、防腐食性に優れている点です。
デメリットは定期的なメンテナンスが必要な点です。
化粧スレート屋根は約8年程度~約10年程度ごとに屋根塗装メンテナンスを行わなければなりません。
耐用年数は約20年程度~約25年程度、施工価格は1㎡あたり約4,500円程度~約8,000円程度が相場です。
天然スレート
天然スレートは粘板岩を薄い板状に加工した屋根材です。
ヨーロッパでも古来から天然スレートを用いた屋根が多く採用されていました。
天然スレートの原料は岩石なので、採掘される国や地域の気候や条件により色や風合いが異なります。
国内の有名建築物にも採用されており、建物を高級感のある雰囲気に仕上げてくれます。
メリットは高級感があり、経年による変化を楽しめる点や
屋根材として使わなくなっても外構のタイルなどに再利用できるなど永く使える点、塗装メンテナンスが必要ない点です。
デメリットは素材が重いこと、高価な素材であること、重量があるため耐震性に心配があることです。
耐用年数は約20年以上、施工価格は1㎡あたり約10,000円以上かかります。
トタン
トタン屋根は薄い鋼板に亜鉛メッキをした「トタン板」を加工して作られています。
日本では大正時代から普及が始まり、日本瓦の屋根よりも安価で施工期間が短いことから大きく広がり
戦後の高度経済成長期には全国の住宅で採用されるようになりました。
現在では一般住宅ではあまりみかけなくなっています。
メリットは軽量で耐震性に優れている点です。
軽量なため、積雪にも強く、積雪量の多い地域では高い需要があります。
また、工期が短く材料費、施工費が安いのも大きなメリットです。
デメリットは断熱性の低さです。
夏の強い日差しを受けると室内の温度が上昇しやすいため、断熱材を入れるなどの対策が必要です。
また、表面の塗膜に傷がついたり、経年劣化により、錆が発生しやすくなります。
錆がひどくなると穴があくこともありますので注意が必要です。
耐用年数は約10年程度~約20年程度、施工価格は1㎡あたり約5,000円程度~約6,000円程度が相場です。
ガルバリウム鋼板
ガルバリウム鋼板は表面にアルミニウム、亜鉛、シリコンのメッキを施した薄い鉄板です。
トタンに比べて錆びにくいことから急速に取って代わりました。
ガルバリウム鋼板のメリットは軽量で耐震性が高いことです。
ガルバリウム鋼板の重量はスレート屋根のおよそ5分の1、瓦屋根のおよそ20分の1と非常に軽量です。
屋根が軽量のため、耐震性に非常に優れています。
デメリットは断熱性の低さと遮音性の低さです。
対策としては断熱材を入れる、遮熱塗料を塗る、鋼板の裏に制振材を張るなどを行います。
耐用年数は約30年程度、施工価格は1㎡あたり約6,000円程度~約9,000円程度が相場です。
アスファルトシングル
アスファルトシングルはアメリカやカナダで一般的な屋根材です。
おしゃれな雰囲気の屋根で日本でも徐々に人気を高めています。
アスファルトシングルはアスファルトにガラス繊維を含浸させ、細かくした天然石を貼り付けます。
メリットはデザイン性が高く、割れに強く、軽量で耐震性が高い点です。
複雑な屋根の形状に合わせて施工することが可能で、和洋どちらの住宅にも雰囲気を合せられます。
また、柔らかいため割れる心配がないこと、石で製造されているため、錆に強いのも特徴です。
デメリットは薄くて軽いため、強風に弱い点、水や湿気、気温により劣化しやすい点、表面の石粒が剥がれやすい点です。
耐用年数は約20年程度~約30年程度、施工価格は1㎡あたり約5,000円程度~約6,000円程度が相場です。
自宅に合った屋根材を
屋根材は種類によって特徴や耐用年数が異なります。
施工費用にも幅がありますので、それぞれの特徴を加味しつつ、自宅の建物に最も合った屋根材を選ぶようにしましょう。
屋根材を選ぶ際にはメンテナンスの頻度や方法も考慮することが大切です。
デザインや素材などで迷ったら施工会社に相談するのがおすすめです。